標本収集への道

標本収集を始めたのは1970年代前半だったと思います。その頃は捕まえてきた虫を飼育し、死んだらろくな展足もせずに保存するという子供の夏休みの宿題的なものだった事を記憶しています。子供用に売っていた赤や青の薬品、注射器の入った標本作成用具を買った事もありましたが使ったことはありませんでした。

虫のサイズを気にしたのは、それからやや暫くしてクワガタ関係の図鑑が売れるようになってからでした。エゾ型ミヤマ等は75ミリ(定規で計測)位のものがよく採れ、ノコギリも70ミリオーバーは普通でしたが、北海道は(私だけかもしれませんが)コクワの方が中々採れませんでした。そんな中で従兄弟と採集に行くことが多かったのですがたまにミヤマやノコギリに混じり、コクワも採れ、中には縞のついたコクワ(今考えるとオオクワ)も採れました。良い時代だったですね。

従兄弟といえば、クワガタで北海道新聞に載った事もありました。ノコギリの奇形で両顎が左右対称に1回転していて、まるで水牛の角のようで「水牛クワガタ」なんて呼んでいました。私は標本に興味を持っていたので、その死骸を欲しいと家へ訪ねると、それは机の引き出しの文房具と一緒に無造作に入れられて、バラバラになっていたので貰わずにいました。その後それはゴミ箱行きになったみたいですが、今思うと貰って補修すれば良かったと後悔でいっぱいです。

オオクワガタを自分で採ってみたいと思った頃には、自分が住んでいた近辺では採れなくなり、当時有名だった山梨県へ何回か出かけたものでした。その時の話は従来のTOPページから入れる「失敗談」の項目にあります。山梨から持ち帰ったオオクワのオスメスを同居させていた所、下にひいていたマットから幼虫が出てきたのですが、ブリーディング方法もわからない上、当時はオオクワの幼虫は成虫になるまで3〜4年かかるという事が言われていたので、何も出来ずに死んでしまった事もありました。

その頃から図鑑でも外国産クワガタを紹介しはじめて、カラフルな色や変わった形、国産には無い大きさに驚きました。特にお気に入りだったのはミナミオオクワガタ(アンタエウスオオクワガタ)で、この標本を是非欲しいと思ったものです。当時、お世話になったのが「セツロー社」さん・「水沼生物研究所」さん・「大蔵生物研究所」さん・「木曜社」さん等でいずれも郵送によるリスト請求の形でした。

当時の特大、又は珍品というのは、現在みたいに多くの業者が採集していた訳ではないので、あまり大きくなかったり、珍品ではなかったりという事が多い気がします。それだけに標本の価値も大暴落。しかし、当時はまわりで外国産クワガタを持っている人はいなかったので、その時に所有していたのだから満足しています。ただ、私の友人でクワガタに興味ある人がいなかったのが悲しいものでした。

何故、生体より標本は高いのか。よく聞かれますが、生体は飼育物が多く出回り、旅費や人件費があまりかからなくなった事があります。標本の基本はワイルド個体(野生)です。また、、生体が流行るようになり他業種の方々も参入し、多くの人々が購入するようになりましたが、元来標本は研究用として、コレクター同士で少量を入れていたという違いもあり、一部のマニアックな趣味であった気がします。ぞれでは生体を殺して標本にすれば・・・という声もありますが、私は出来ないでおります。寿命で亡くなった個体は足や触覚が無い場合が多く、飼育物も中々標本にはなりません。結局ははじめから標本物を購入しています。

標本の収集基準は人それぞれ違うと思います。例えば、同じ種を産地によろ変異を調べる為産地別に沢山集めたり(旧ワールドインセクト北海道とか・・・)、とにかく種類を集めたい人、珍品のみを集めたい人、属にこだわって集める人、大きさにこだわる人等等。私個人は間違いなく大きさにこだわります。しかし、これは1番効率が悪い。超特大とかギネス級とかはとにかく高いのです。そして、保有している標本より大きい同じ種類のものが売りに出ていますと欲しくなる(私は同産地、同種の大きさがわずかに違う、という個体が沢山有ります・・・)。標本商の皆様もコレクターなのですから、本当は最大の物は手放さないのかもしれません。それが分かっていながら、欲しくなる。私と同じタイプのコレクターさんは怒ってはいけません。入手時は持っている事で満足するのですから・・。

このHPでは現在私が所有している標本のみご紹介します。いってみれば、自分の標本整理のため、記録しておこう、それがホームページだったのです。ですから、たいした物はありませんが、私なりの解説等、または飼育方法等を載せられたらと思っています。正確性は乏しくなる事は目に見えていますが、どうかお許しを・・・。あまりに適当だと有害HPになるかも知れませんので、文献を参考にする事もあると思います。(支離滅裂な文になってしまいました・・・)一生懸命世話した個体が亡くなった時は悲しいものです。しかし、その姿を留めておく事も良いものですよ。

標本をはじめてみません